先日、久しぶりにある年代のOB保護者会の新年会がありました。懐かしい顔と、現在の子供たちの様子を聞いて楽しい時間を過ごさせていただきました。高校生になった子たち、社会人になった子たちも、今を楽しみ、今を苦しみ悩み、少しずつ大人に近くなってきているのだな〜と感心させられました。
その二次会で、チームは違うけど、自分も中部地区の少年団でサッカーやってました!と挨拶に来てくれた青年がいました。その青年との話の中で、対戦をし、試合が終わってから、わたしが、「チームがすごく成長したね。」と声をかけたらしいです。その青年はその言葉がうれしくて、今も忘れず覚えてくれていました。私が言ったほんの些細な言葉を彼は何年もたった今でも覚えておいてくれて、「とても嬉しかったです。ありがとうございました。この言葉でサッカーを続けてこれました。」とまで言ってくれました。この言葉に私自身考えさせられました。指導者の責任と幸せと怖さです。何気なく言った指導者の言葉に感謝されることもあれば、逆もあると思います。おそらく私もたくさんの言葉で彼らを苦しめたと思います。反省しなければいけません。
またその会で、ある保護者さんが、「吉川さんが、子供たちに3年間毎日毎日言ってくださった言葉を、子供たちは、今も忘れずに心に持っていますよ。だから、吉川コーチに会いたがるし、でも実際会うと緊張すると言うんです。」と言ってくださいました。ありがたいお言葉であると同時に、やはり、責任と幸せと怖さを実感させてもらいました。
指導者が発する言葉は、ものすごく影響力があります。そしてそれは彼ら子供たちの人生にとってプラスにもマイナスにもなります。もう一度この責任と幸せと怖さをしっかりと胸に刻みたいと思います。
思い起こせば私も、たくさんの指導者からたくさんの言葉をいただきました。その中で、思い出に残っている言葉をお伝えします。
私は中学生のころ、とても背の低い選手でした。そのためあたりに弱く大きい選手とぶつかるとすぐに倒れてしまっていました。トレセンに行くといつも決まって言われました。「君は、上手くて良いんだけど、背が低いからな〜」そう言って落とされていました。この言葉がどれだけ残酷か考えたことありますか。上を目指している選手にはとても残酷で現実を突きつけられる言葉です。なぜなら、努力のしようがないからです。(毎日お腹が痛くなるくらいたくさんの牛乳は飲んでましたけどね(笑))
自分は、技術が無いと言われれば何万回、何十万回でも技術練習をやってやる。戦術力がなければ、サッカーの戦術勉強を何十時間でもやってやることができる。努力をすることだったらどんなことでもやってやる自信がありました。ただ、「背が低いから駄目」と言われたら、だったらどうやれば背が高くなるの?教えてよ!という気持ちになりました。目の前が真っ暗になる思いでした。
ですが、その時のサッカーの先生が、落ち込んでいる私に言ってくださいました。
「吉川、ボールを扱うのはどこで扱うの?」「足です。」「じゃあ足はどこにあるの?」「地面の上です。」「だったら背が低くても関係ないんじゃないの。2mの選手も、背の低いお前も足のついているのは地面の上で同じ高さだよ。そしてボールがあるのも多くの時間が地面の上だよ。諦めるなよ。」
私はこの言葉に救われました。だったら、誰にも負けないように、足元の技術を高めてやる。そのために、寝る間も惜しんで練習しました。そして少しずつ目標を達成していくことができました。
先生の心温まる言葉に救われた思いがしました。この言葉は今でも心に残っています。
私も子供たちに、こんな素敵な言葉を言ってやれるようになりたいと思っています。ですがまだまだ精進が足りず、そこまでになっていません。
これからも努力を重ねて、先生のような温かい言葉を子供たちにかけてあげられるようになりたいと思います。
先生、ありがとうございました。お時間のある時に、カミノの子供たちを見に来て声をかけてやってください!!よろしくお願いいたします。
FCカミノヘッドコーチ吉川尚男